教育、学び、そして学校 〜 注52

公開: 2024年3月24日

更新: 2024年7月31日

注52. 普通教育の機会の確保に関する法律

平成28年(2016年)12月、文部科学省は、「義務教育の段階における普通教育の機会の確保に関する法律」を定め、義務教育の場合、小・中学校の生徒が、その段階で学ぶべき知識を学ぶ場所を、学校の授業時間に限定する必要がないことを認めました。これによって、学校の授業と同じ内容を学べるのであれば、少人数で学べる民間のフリースクールや個人指導なども利用できることになりました。

この法律によって、「不登校」自体は、学校にとって大きな問題ではなくなりました。学校の授業と同じ学びができれば、学校に来なくても良いからです。このことは、集団で学ぶことが苦手な子供もたちにとっては、学ぶ機会を拡大することになりました。そして、そのような生徒を見守らなければならない教員にとっても、その負担を軽減する効果があります。ただ、学校で学ぶことは、単に知識だけではなく、人間関係の構築など、体験的に学ばねばならないこともあるので、それほど単純な問題ではありません。

ただ、これまでの教育現場で教員たちに過剰な負担を強いてきた、不登校の生徒に対する登校指導の労力が、軽減されることになりました。しかし、知識を得る機会は保証されても、社会で人間関係を構築するスキルを学べるかどうかは、分かりません。このことか、日本社会の将来のリスクになるかもしれません。

参考になる資料